富岡町のことをもっと知り、魅力を発信していきたい

更新日:2022年8月29日更新

富岡町観光協会 会田 瞳さん

夜の森の桜をバックに笑顔の会田 瞳さん

富岡町観光協会に、県内から移住してきた女性が入社されたと聞き、さっそくインタビューしてきました。今年成人式を迎えたばかりだという会田 瞳(あいた ひとみ)さん。20年間暮らし続けた地元を離れるということは、とても勇気のいることだと思います。会田さんが移住を決めた理由、富岡町での暮らしのこと、お仕事のこと、そしてこれからのことをお聞きしました。

「富岡愛」に触れ、移住を決意

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ーー2022年4月から観光協会に勤めていらっしゃるそうですね。移住したのはいつ頃ですか?

会田さん:3月に移住してきたので、まだ半年も経っていませんね(2022年7月時点)。高校卒業後、地元の郡山市で一度就職したのですが、富岡町出身の同い年の彼が地元に戻るタイミングで、私も一緒に移住しました。

ーー富岡町出身の方とのご縁があったのですね。

会田さん:はい、私がまだ小学3年生の頃に東日本大震災が起きました。彼は富岡町から郡山市に避難してきて、お互い大人になってから、共通の知人に紹介されて出会いました。

ーーその方から富岡町の話を聞いて、興味をもたれたんですか?

会田さん:すごく地元愛のある人なんです。小学生の頃に避難して、9歳からの11年間を郡山で過ごしたわけじゃないですか。それって、青春時代のほとんどを郡山で過ごしたということですよね。それでもやっぱり「富岡が一番好き」って言うんですよ。

話を聞いているうちに、彼がこんなにも大好きだという富岡という町はどんな町なんだろう? と興味をもつようになりました。それで移住前にも何度か、富岡町を訪れたこともあります。

ーーそのときの町の印象はどうでしたか?

会田さん:地元の方が気を悪くされたら申し訳ないのですが、「震災後は何もなくなってしまった町」という話をよく聞いていたんですね。なので漠然と、人気のない寂しい情景を思い浮かべていたんですけど、実際に訪れてみたら違いました!

「とみおかアーカイブ・ミュージアム」など、大型の新しい施設ができていたり、町内の整備が進んでいて、町の活性化のために力を尽くしている方がたくさんいらっしゃるんだなと感じました。

第二の故郷のようなあったかい町

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観光客に町内のオススメスポットを案内する会田さん

ーー富岡町に移住するということに不安はありましたか?

会田さん:出身は郡山市といっても、田舎の方だったんです。周りには商業施設も何にもなくて、あるのはコンビニくらい。だから、富岡町に移住すると決意したときも、コンビニがあればやっていけるかな、くらいに思っていました(笑)。

ーー親御さんは心配されたのでは?

会田さん:最初は「本当に自分の力で暮らしていけるの?」と、とても心配していましたね。同じ県内とはいえ、車で1時間半ほど離れていますし。両親はじめ、知り合いたちにも結構心配されたので、だんだん自分も不安になってきたりして(笑)。

福島県って3つの地域に分かれていますよね。富岡町のある浜通りと、郡山市のある中通りと、会津地方。中通りでは浜通りに対して「浜の人はちょっと冷たい」という認識が昔からあるみたいで、私も何度かそういう話を聞いたことがありました。浜通りの皆さん、気分を害されたらすみません!

だから移住する前は、富岡町を知らないよそ者である私を受け入れてくれるのかな? という不安は少しありました。いざ移住して「郡山から来ました」と言うと、皆さん口をそろえて「富岡に来てくれてありがとう!」「よく来てくれたね!」ってあたたかく迎えてくださったんです。

なんてあったかい町なんだろうって安心しましたし、移住して本当によかったなって思いました。

ーーどんなところに富岡の人のあたたかさを感じますか?

会田さん:私はまだ20歳なので、富岡町で知り合う方はほとんど年上です。私のことを自分の子どものように接してくださったり、心配してくださったりする方がたくさんいます。なので、まるで自分の地元のような、第二の故郷のような感じがして、すごくあったかいんです。

観光協会で富岡町の魅力を発信していきたい

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ーーとても素敵なお話ですね! 町内の企業の中で、観光協会を選んだ理由は?

会田さん:移住を決めたときから、まずは富岡町のことをよく知りたいと思っていたんですね。住民の方々とたくさん交流して、町のために少しでも力になりたいって考えていました。そんなときに、ちょうど知り合いから観光協会が募集してるよって教えてもらって。ここなら、私がやりたいことを全部実現できる! と思ってすぐ応募しました。

書類選考を通って面接していただいて。最初はすごく緊張しましたけど、面接してくださった方々が深く頷きながら私の話を聞いてくださって、話しやすい雰囲気をつくってくださいました。そこでまた、この町の懐の広さと深さを感じて、やっぱり素敵な町だなって思えたんです。

ーー観光協会での最初のお仕事は?

会田さん:お客様との交流がメインですね。地元産の野菜や、町民の方が作った小物などの物販もやっているので、まずは商品のことを学びました。それから、町をどうPRしていったらいいか勉強したり。

ーー4月といえば「桜まつり」もありましたよね。入社してすぐ大きなイベントの準備があって大変だったのでは?

会田さん:そうですね! 二日間で約2万人が来場してくれました。全国各地からこんなに人が集まるのは、やっぱり町に魅力があるからだと思うんです。桜の美しさはもちろん、それ以外にも素敵なところがたくさんあります。富岡町の魅力がもっともっと伝わっていけばいいなと思います。

ーー観光協会としてもこれからPR活動に力を入れていくと思いますが、会田さんとしてはどんなふうに富岡町の良さを伝えていきたいですか?

会田さん:SNSに力を入れて全国に広めていきたいです。あとは、観光で来てくださる方もたくさんいらっしゃるので、その方達に富岡町の魅力を伝えて、口コミでも広まっていくといいなと考えています。

ーー観光協会は、町民の憩いの場にもなっていますよね。

会田さん:はい、町の方々が遊びにきてくださいます。最近、団地で暮らしているおばあさんがここを気に入ったようで、よく買い物をしに来てださるようになりました。野菜のほかにも地元産の果物も扱うようになったので、「入荷したら教えて」って。そういう地元の方々との交流の場にもなってきているので、やりがいを感じます。

農家さんの笑顔を見て、野菜作りに興味をもつ

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富岡の夏の名産 パッションフルーツも販売

ーーお仕事以外でも、会田さんが個人的に町内でやってみたいことなどありますか?

会田さん:観光協会では地元野菜の直売もしているので、農家の方と交流することが増えました。色々とお話ししているうちに「農業って楽しそう」と思うようになってきたんです。大規模なことはできないですけど、家庭菜園程度でもいいから、何か自分で野菜を育ててみたいです。

農家さんがとても魅力的なんですよね。自分で育てた野菜を「ちょっと形悪りぃんだけど、うめーんだ」って嬉しそうに持ってきてくださる様子を見て、なんか「いいなぁ」って。この気持ちを言葉にするのが難しいんですけど、単純に「いいなぁ、素敵だなぁ」って思ったんですよね。

実際に野菜を食べてみたら、これが本当に美味しいんです! きっと愛情を込めて作っているから、こんなに美味しくなるんでしょうね。私も自分でおいしい野菜を作ってみたいと思うようになりました。

ーー実際に移住してみて、ちょっとここは大変だなと思うことはありますか?

会田さん:たま〜にマクドナルドとかすき家とか食べたくなるんですけど、近くにお店がないということくらいですかね(笑)。車で片道1時間かけていわき市まで行かないといけないんですけど、「1時間かけてマックかぁ」と考えると結局あきらめちゃう(笑)。

ーーわかります(笑)。無性に食べたくなるときがありますよね。普段のお買い物は「さくらモール」ですか?

会田さん:はい、「さくらモール」で生活に必要なものはだいたい揃います。町内のコンビニも夜の9時に閉まってしまうので、仕事終わりに急いで買い物を済ませます。移住前とは生活スタイルも結構変わったので、それに慣れるまではちょっと大変でしたね。

あなたの夢をかなえられる町

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ーー夜開いているお店は、確かにまだ少ないですよね。逆に、ここは富岡町の魅力だなと感じるところはありますか?

会田さん:人のあたたかさは最大の魅力だと思います! あとは、起業など新しいことにチャレンジしやすいということですかね。東日本大地震があって、一度は何も無くなってしまった町ですが、ゼロからスタートしているからこそ、可能性は無限大だと思います。

何か自分でやってみたいことがあっても、今住んでいるところだと競争率が高いから諦めてしまっている人も多いと思います。「起業したい」「やりたいことがある」という方には、本当にチャレンジしやすい町だと思いますよ!

ーーこれから富岡町でどんなふうに暮らしていきたいですか?

会田さん:まだ移住して半年も経っていないので、知らないことがまだまだ多くて。案内する立場として、もっと町のことを学んでいきたいです。どうしたら富岡の良さを知ってもらえるのか考えて、実行に移せるようになっていきたいなと思っています。

ーー最後に、移住を考えている人たちに向けてメッセージをお願いします。

会田さん:原発の問題もあり、一度は人がいなくなってしまった町に移住するのは勇気がいるかもしれません。不安もたくさんあると思います。私自身も、最初は不安でした。でも、いざ暮らしてみると、本当にあったかい町ですし、生活するのに困らない環境が整っていると思います。

何かチャレンジしたいことがある方は、ぜひ一度富岡に来てみて欲しいです。町独自の起業補助制度もあります。あなたの夢を、富岡町で一緒にかなえましょう!

写真:橘 輝
文:地域おこし協力隊 遠藤真耶

会田瞳(あいた ひとみ)さん顔写真

会田瞳(あいた ひとみ)さん

2022年3月、福島県郡山市から移住。同年4月から富岡町観光協会に勤め、町のPRに尽力中。オススメスポットは「夜の森の桜」と「とみおかアーカイブ・ミュージアム」。地元産のジャガイモで作るじゃがバターが最高に美味しいそう。 富岡町に遊びに行く際には、ぜひ富岡駅隣の観光協会で町の情報をチェックしてください。